今テレビやニュースなどで、大きく取り上げられている「ひきこもり」問題。
何が今回大きな問題かというと、今までは「ニート」と呼ばれるように「ひきこもりは若い世代が多い」というイメージを覆す、驚愕の事実がわかったからです。
調査の対象となった世代は40代~60代で、この世代の「ひきこもり調査」は初の試みとのことで、内閣府より発表がありました。
今回は内閣府が出したデータを元に、あまりメディアでは取り上げられることがない、ひきこもりは「本人が悪いのか」「家族が悪いのか」「社会が悪いのか」をテーマに考察してみました。
「ひきこもり」とは
「ひきこもり問題」は今に始まったことではありません。1980年代から「子供が学校へ行かない」など社会問題として扱われています。
以来2000年代の現代へとその形を変え、新しい局面を迎えさらに深刻化しているものになります。
「ひきこもり」の定義
「自宅にひきこもって、社会的参加をしない状態が6カ月以上持続しており、精神障害がその第一の原因と考えにくいもの」
「パソコン通信や電話で外の人との接触がある人、家事などをして家族と良好な関係を持っている人は該当しない。」
出典:コトバンク
※厚生労働省が出す定義文は、とても難しい言葉が多く分かりにくいので(汗)、簡潔にわかりやすい言葉にしたコトバンクさんから引用させていただきました。
「ひきこもり」調査結果
2019年3月29日、内閣府が発表。
40~64歳の、自宅にいる「ひきこもり」の人が全国で61万3000人いると推計値を出しました。そのうち男性が76.6%、また7年以上に及ぶひきこもりが46.7%という結果が出ています。
ひきこもるきっかけとなってしまった理由で、一番多いのが「退職」です。
前回の調査結果では、対象者が15歳~39歳であり、推定値は54万1000人でした。
今回の調査でわかったことは、「ひきこもり」は若者特有の現象ではないとし、「長期化」また「高齢化」しているものとなります。
日本全国で男女年齢問わず、ひきこもる人の総数は100万人を超えるのではと言われており、今の日本の大きな社会問題になっています。
メディアが取り上げる問題
ひきこもる人の年齢が高いということで、その人を(経済的に)支援する親世代の超高齢化に注目が集められています。
●年金生活者である親世代
収入は年金のみという親が、さらに子供のめんどうまで見なくてはならない現状があり、経済的にも精神的にも追い込まれ、親までもが社会から孤立してしまうと事態に陥っている。
「8050問題」とも言われ、これは親が80歳、ひきこもる子供が50歳になってしまうという現状を表しています。
●親が亡くなったらどうなる
親がいるから、ひきこもって生きていけるのが現実。
超高齢となる親世代が亡くなったあとは、いったいどう生きていくのかが課題となる。
●生活保護へ転落の懸念
親が亡くなってしまうと生活の支援者がいなくなるので、生活保護を受けざるを得なくなると懸念しています。今回の調査結果となった推定約60万人がいずれ生活保護受給者となる・・。
●自害他害の懸念
親子共に世間から孤立してしまった結果として、自宅にひきこもる中高年の子供が親を殺害したり、親がひきこもりの子供を殺害するなどの事件が実際に起っているので、これからもこのリスクは高まるであろうという懸念です。
これに対して厚生労働省は4月10日の会議にて、「就職氷河期世代就職実現総合プラン(仮称)」を策定し、本格的に支援強化に向け動き出しているようです。
内閣府は就職氷河期世代を、平成5年から16年ごろに卒業期を迎えた世代としています。
つまり4年制大学を卒業した人で計算をすると、2019年現在で37~47歳の人が当たります。
就職氷河期(ロスジェネ)世代とは?
この就職氷河期世代の人たちのことを俗に「ロスジェネ世代」と言われています。
ロスジェネとは、「ロスト・ジェネレーション」の略語で、「失われた世代」という意味です。
なんだか響きの良くない言葉ですが、このロスジェネ世代の人たちが就職活動をした時期は、バブル崩壊直後からその後10年間の期間となります。
バブルが崩壊し、日本の若者に明るい未来は失われてしまいました。
明るい未来を創造し、頑張ってきたお父さん世代達(団塊)とは全く違う時代に突入したのです。
お父さん世代達は、終身雇用・年功序列が当たり前でした。
仕事がどんなに大変でも歯を食いしばって頑張っていれば、毎年少しずつでも給料は上がっていた。
だから頑張る価値がある、と。
「努力・気合・根性」そんな言葉が大好きな団塊世代を親に持ち、その背中を見て育ってきたロスジェネ世代も、バブル崩壊がなければ、きっと自分のお父さん世代と同じように頑張ったはずなのです。
この結果、現在の少子化問題を加速させる現象になっていったのも言うまでもありません。
なぜひきこもるのか?
今回は、人はなぜひきこもるのか?という「そもそも論」ではありません。
「なぜ中高年がひきこもるのか」ということを考えてみたいです。
それは前出のように、明るい未来が崩壊してしまったから希望を失った、頑張ってもお給料が上がらない、頑張る意味さえないと思うからでしょうか?
つまり社会のせいになるのでしょうか?
それとも単に甘えきってしまっている、本人に一番の原因があるのでしょうか。
もしくは、なんだかんだ言って子供を甘やかして守っている、親が悪いのでしょうか。
そこに気になるところが、ひきこもりの人を持つ家庭の特徴として「親子断絶」というキーワードが出てきます。
親と一緒に住んでいるけど、親と良い仲である人は殆どいないようです。
わざと自分の子供を追いつめ、苦しめたいと思う親はいないと思います。
しかしなんとか自立させたい、自立してもらいたい、変わってもらいたい、親としてなんとかしてあげたいという思いから、結果的に本人を追い詰めているケースも多いのです。
生きてきた時代背景の違いから、団塊世代と団塊ジュニア世代は全く合わないといいます。
団塊世代の方たちは時代が変わったにもかかわらず、自分たちが生きてきた時代の価値感を押し付ける傾向があります。
お父さんたちの「努力・気合・根性」のやり方は今はもう通用しないので、その価値感を求められても苦しいだけなのです。
だからといって、一生懸命頑張って生きている同じ世代の人もいっぱいいます。
そんな人たちからすると、「甘えるな」と思うでしょう。
ひきこもって楽しているなんて許せない、と思うでしょう。
しかし、世の中には、頑張りたくても頑張れない人がいる。
ある挫折をきっかけに、一気に人生が転落し這い上がることができなくなることは、誰しもあるかもしれない。
という理解を差し引いたとしてもやっぱり、頑張って生きている人からすると、苛立ちが隠せないのが本音だと思います。
さいごに
殆どの方はひきこもる本人も含め、それ以上に「親が悪い・甘いからだ!」となると思います。
しかしこの問題は、親も追い詰められているのが現状です。
これは本人、時代、政治、親、すべてひっくるめて結局は「社会が作った問題」だと考えます。
各自治体にて、支援施設などいろいろあるようです。
ひきこもりの家庭を助ける仕事を専門にされている方も、大勢いるようです。
最悪の事態になる前に、まずは外に向けて「HELP」コールをする事が必要なのです。
閉ざされた扉を打開するためには、大きな課題はいっぱいあるようです。
今後の動向も気になります。
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